近年増加傾向にある、さまざまな詐欺。

特に最近では、「振り込め詐欺」と呼ばれる巧妙な詐欺は複雑化しているだけでなく、被害件数も増えており、誰がどのような巧妙な振り込め詐欺の被害にあうかわからなくなっています。

では、皆さんは詐欺罪の時効はご存知でしょうか?

詐欺師を警察に逮捕してもらうにしても、騙し取ったお金を返金させるにしても、ある一定以上の年月が経過するとどちらも叶わぬ夢となってしまいます。

そこで、詐欺罪で逮捕してもらうための刑事上の時効と、騙し取られたお金を返金させるための民事上の時効に分けて弁護士が分かりやすく解説します。

【刑事】詐欺罪で逮捕してもらうための時効

その人の人生を一変させてしまうことすらある詐欺。 その詐欺のせいで自殺をしてしまったりする人がいるにもかかわらず、詐欺の時効は7年となっております。

各犯罪には時効があります(一部犯罪をのぞく)。

そして、その時効は法定刑が何年かに決まります。 法定刑が10年以上であり、15年未満の懲役または禁錮に当たる罪の場合は、一律時効が7年と定められており、そのルールに則って、詐欺の時効も7年と決められています。

「それじゃあ、詐欺の被害から7年過ぎたら、訴えることができないの?」 そんなふうに思われるかも知れませんが、詐欺の被害にあってから7年以上過ぎても、詐欺の被疑者を公訴することが出来る場合があります。

詐欺罪の時効(7年)が過ぎても公訴できる場合とは

詐欺罪の時効は7年ですが、ある条件を満たす場合は公訴時効が停止する場合があります。

  • 公訴提起されている場合
  • 被疑者が国外にいる場合

公訴提起されている場合

公訴提起とは、検察官が管轄裁判所に起訴状を提出し、被告事件の審判を提出する手続きをしていることを意味します。

一般的に「起訴」と呼ばれる状態がコレに当たります。

つまり、起訴されている状態であれば詐欺の時効は停止することが出来るのです。

この刑事訴訟法254条1項の条件を利用して、日本ヘルシー産業脱税事件などのように、起訴状の送達ができない状態で必ず控訴棄却がされるのがわかった状態であっても、公訴提起を繰り返し時効が完成するの止めることができます。

ただし、すでに詐欺の被害から7年もの時間が過ぎている場合は、時効が過ぎてしまっているため、訴えることができません。

被疑者が国外にいる場合

刑事ドラマなどでも良く使われる被疑者が国外にいる場合、時効が停止する――これは刑事訴訟法255条で決められた規定であり、この規定は詐欺の被疑者にも当てはまります。

ただし、あくまで国外に被疑者が逃げている場合に成立することであり、国内で被疑者が逃げ回っている場合は、その限りではありません。

【民事】詐欺の返金をさせるための時効

詐欺の時効は7年ですが、これはあくまで刑事の場合です。

返金させるための民事の場合は、詐欺の時効はもっと短く、残念ながら3年です。

不法行為に基づく損害賠償請求の場合は、例え被疑者であっても、3年経過していれば相手方は時効消滅を主張できます。

「えー、それじゃあ詐欺の被害にあっても、3年経過すれば、民事訴訟で返金請求きないの?」 と思われるかも知れませんが、民事訴訟できるケースがあります。

詐欺の被害から3年経っても民事訴訟できるケース

  • 相手側が詐欺であることを認めた場合
  • 詐欺にあったことを知った時から5年以内
  • 詐欺の契約を取り消してから、10年以内

相手側が詐欺であることを認めた場合

詐欺を行った相手側が、何らかの理由で自分が行ったことを「詐欺」だと認めた場合です。

このケースであれば、詐欺の被害から3年経っていても、民事訴訟が出来るため詐欺によって騙し取られた金額が返ってくる可能性があります。

詐欺にあったことを知った時から5年以内

詐欺の被害にあったことを知らなかった、つい最近詐欺にあったことを知った――という場合は、詐欺にあった際の契約を取り消さなければなりません。

詐欺にあった際の契約を取り消すことが出来る期間が5年。 つまり、5年以内で「詐欺の契約を取り消す」ための訴訟を民事で行うことが出来るのです。

詐欺の契約を取り消してから、10年以内

詐欺だということを知らずに契約し、詐欺であるということを知った場合、契約を取り消すことが出来る期間を「追認をすることができる時から5年間」と決められています。

これが上記のケースです。 そして、この5年が過ぎて、騙し取られた財物を取り戻す場合は、騙しとった側が不当利得(民法703条)となり、詐欺の被疑者側に対して、返還請求をすることができます。

この請求権は民法167条により、発生時(契約の取消時)から10年行使しない場合に時効消滅することになるので、詐欺にあったことを知った時から5年。

その詐欺の契約を取り消してから、10年以内であれば詐欺の被害にあったとしても民事訴訟で、返金請求することができます。

刑事・民事どちらとも時効を過ぎたら返金は不可能です

どんなに嘆いたところで、詐欺の時効が過ぎてしまえば、警察が詐欺師を逮捕することはできません。逮捕まで持ち込めば、起訴を免れるため、或いは、刑を軽くするために詐欺師が弁護士を介して返金の申し出をしてくることが多いのですがそれも叶わなくなるということです。

詐欺の民事の時効が過ぎてしまえば、弁護士が介入して交渉したところで聞く耳をもたないでしょうし、時効の援用をされたら弁護士といえども手も足もでません。つまり、時効が過ぎてしまえば騙し取られたお金を取り戻すことは実質不可能ということになります。
 
もしあなたが詐欺の返金を求めるのであれば、時効を迎える前に弁護士に相談の上、時効の中断の手続きを依頼すると良いでしょう。