結論から言いますと、刑事事件である詐欺罪の公訴時効は7年、民事事件の詐欺の時効は3年と5年です。

「民事の詐欺の時効がなんで2つあるの?」と思われた方もいることでしょう。

そのほかにも、「そもそも詐欺の時効はいつから開始されるの?」「公訴ってなに?」と、時効の基礎知識について気になっている方もいることでしょう。

そこでここでは、刑事事件と民事事件の詐欺に分けて、それぞれの時効について理解できるようわかりやすく弁護士が解説していきます。

読むことで、詐欺についてだけでなく、時効そのものについての理解が深まることでしょう。

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【刑事事件】詐欺罪の時効

その人の人生を一変させてしまうことすらある詐欺。 その詐欺のせいで自殺をしてしまったりする人がいるにもかかわらず、詐欺の時効は7年となっております。

各犯罪には時効があります(一部犯罪をのぞく)。

そして、その時効は法定刑が何年かに決まります。 法定刑が10年以上であり、15年未満の懲役または禁錮に当たる罪の場合は、一律時効が7年と定められており、そのルールに則って、詐欺の時効も7年と決められています。

「それじゃあ、詐欺の被害から7年過ぎたら、訴えることができないの?」 そんなふうに思われるかも知れませんが、詐欺の被害にあってから7年以上過ぎても、詐欺の被疑者を公訴することが出来る場合があります。

詐欺罪の時効(7年)が過ぎても公訴できる場合とは

詐欺罪の時効は7年ですが、ある条件を満たす場合は公訴時効が停止する場合があります。

  • 公訴提起されている場合
  • 被疑者が国外にいる場合

公訴提起されている場合

公訴提起とは、検察官が管轄裁判所に起訴状を提出し、被告事件の審判を提出する手続きをしていることを意味します。

一般的に「起訴」と呼ばれる状態がコレに当たります。

つまり、起訴されている状態であれば詐欺の時効は停止することが出来るのです。

この刑事訴訟法254条1項の条件を利用して、日本ヘルシー産業脱税事件などのように、起訴状の送達ができない状態で必ず控訴棄却がされるのがわかった状態であっても、公訴提起を繰り返し時効が完成するの止めることができます。

ただし、すでに詐欺の被害から7年もの時間が過ぎている場合は、時効が過ぎてしまっているため、訴えることができません。

被疑者が国外にいる場合

刑事ドラマなどでも良く使われる被疑者が国外にいる場合、時効が停止する――これは刑事訴訟法255条で決められた規定であり、この規定は詐欺の被疑者にも当てはまります。

ただし、あくまで国外に被疑者が逃げている場合に成立することであり、国内で被疑者が逃げ回っている場合は、その限りではありません。

民事事件の詐欺の時効

民事事件というのは、私人間(法人も含む)同士の、生活関係や法律関係に関する事件のことです。

例えば、友人に貸していた物を返してくれないので返還請求したい、夫の不倫相手に慰謝料請求したい、知人に貸したお金を返して欲しいといった私人間のトラブルのことです。

民事事件における詐欺の取扱としては、騙されたことで生じた損害を賠償してもらいたい、詐取したお金を返金してほしいといった争いになります。

では、民事における詐欺の時効の期間や、時効が開始される時期はどのようなものでしょうか。

損害賠償請求の時効は3年

騙されてお金や物を失ったらそれは”損害”です。

その生じた損害は、加害者が埋め合わせすべきものですので、賠償請求ができます。

民法709条では、故意(わざと)または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負います、と規定されています。

そして、この709条の時効については、民法724条で規定されています。条文を見てみましょう。

民法724条

不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

詐欺のケースにあてはめると、損害が生じたことを知るのは、詐欺被害にあったことを気付いた時ですね。そして、通常はその時に、自分を騙した加害者が誰かはわかると思います。

つまり、「あの野郎!俺を騙しやがったな」と気付いた時から3年以内に損害賠償請求をしないと時効を迎えてしまうということです。
※一定期間に権利を行使しないことで権利が消えてしまう(消滅する)ことから、消滅時効と呼ばれています。

さらに、詐欺被害にあったことすら気付かずに、20年(これを除斥期間といいます)過ぎてから気付いたとしても時既に遅しです

時効の中断についても覚えておこう

詐欺被害にあったことを知って、犯人もわかっているのに3年間も放置する人はさすがにいないと思います。

では、賠償請求しようと立ち上がったものの、肝心の犯人が逃げてしまい所在不明の場合はどうなるのでしょうか。所在不明のため賠償請求訴訟が起こせず、3年という時効が刻々と迫ってくるのを指をくわえて眺めていなければならないのでしょうか

そんなことはありません。民法147条で”時効の中断”というものが規定されています。”あること”をすることによって、時効の進行が中断され、時効がゼロから開始されるのです。つまりそのあることをすれば、3年の時効がリセットされ、改めて3年の時効がスタートするのです。

そのあることとは、「訴訟を起こすこと」です。詐欺師に対して損害賠償請求訴訟を起こせば、裁判所から詐欺師に対して訴状等の書類が送られてきます。この時点で時効が中断されることになるのです。

この点、「詐欺師が逃げてしまったら自宅もわからないし、訴訟は起こせないのでは!?」と心配される方もいることでしょう。

しかし、こういった事態に備えて、民法や民事訴訟法で、「公示送達」という手続きが定められています。裁判所に申し立てることによって、裁判所の掲示板に呼出状が貼られ、2週間経過すると相手に訴状が届いたと看做されるのです。これにより時効が中断します。

そしてさらに、公示送達によって詐欺師が現れなかったとしても裁判の審理は開始され、詐欺の証拠が揃っていれば原告(被害者)が勝訴します。勝訴するとそこからさらに10年の時効が開始されるのです。

刑事・民事どちらとも時効を過ぎたら返金は不可能です

どんなに嘆いたところで、詐欺の時効が過ぎてしまえば、警察が詐欺師を逮捕することはできません。逮捕まで持ち込めば、起訴を免れるため、或いは、刑を軽くするために詐欺師が弁護士を介して返金の申し出をしてくることが多いのですがそれも叶わなくなるということです。

詐欺の民事の時効が過ぎてしまえば、弁護士が介入して交渉したところで聞く耳をもたないでしょうし、時効の援用をされたら弁護士といえども手も足もでません。つまり、時効が過ぎてしまえば騙し取られたお金を取り戻すことは実質不可能ということになります。

もしあなたが詐欺の返金を求めるのであれば、時効を迎える前に弁護士に相談の上、時効の中断の手続きを依頼すると良いでしょう。

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